農業・環境・食品関連トピックス

農業・環境・食品等に関する気になる話題を取り上げます。

釣りエサの赤虫(アカムシ)・・実は輸入品が多い

釣具店で売られている最も安い釣りエサといえば「赤虫」(ユスリカの幼虫)です。実は大量に輸入されています。余った釣りエサは野外に捨てられることが多いため、生態系保全の面で問題があるとも言われています。また、赤虫は不衛生な環境で養殖されています。赤虫を触ったら、必ず手を洗いましょう。

釣りエサの「赤虫」って何?

オオユスリカ・アカムシユスリカの幼虫。体長20ミリメートルほどになる,赤色の細長い小虫。池沼や緩やかな流れの底にすむ。観賞魚や釣りの餌(えさ)にする。アカボウフラ。
出典 赤虫 とは - コトバンク

ユスリカ - Wikipedia
「カとは科が異なる昆虫で、カのように動物や人を刺したり、その血液を吸うことはない。」
ユスリカの成虫は「いわゆる「蚊柱」をつくっている昆虫である。」

アカムシユスリカの幼虫の特徴
釣具店で売られている赤虫は、ほとんどが
「アカムシユスリカ」らしい。

アカムシユスリカの成虫
蚊に似ているが人を刺すことはない。
ただ、大量発生したり家屋に入ったりすると問題になる。

現在「赤虫」はほとんどの釣具店でほぼ周年的に販売されている最もポピュラーで、かつ、数100匹を濡れた新聞紙に包み200円程度のもっとも安価な餌でもある。
出典 http://www.jataff.jp/konchu/bait/9.html

大量に集めるのは大変そうなのに、どうしてそんなに安く売られているのか?

 

実は大量に輸入されている

上□屋さんで釣り餌の赤虫を買いますが、この赤虫は韓国から輸入していると聞きました。
出典 -+ TANAGOO! +-
「赤虫」には集合性はなく、これを泥中から大量に集めるのは相当な手間になろう。かくして「赤虫」の売品は現在そのほとんどが韓国からの輸入に頼っているという。
出典 http://www.jataff.jp/konchu/bait/9.html
日本の植物検疫体制は世界有数の厳重さを誇るが、農産物の害虫以外の虫は検疫の対象外となっている。
しかし、生態系の攪乱や種の多様性の面から、 たとえ有用種といえども輸入は慎重を期すべきであるとの論議も活発化している。
出典 http://www.jataff.jp/konchu/bait/9.html

釣り餌の"商虫"列伝 輸入もの アカムシユスリカ

西日本における釣り餌として流通される水生動物の現状(PDF)
赤虫だけでなく、釣りエサ用のゴカイ類(アオイソメ等)や甲殻類スジエビ等)も、中国や韓国などからの輸入が多い。
「余った釣り餌動物は野外に遺棄されることがあるため,潜在的に日本の在来性水生動物の保全に対して捕食や生息場所の占有,あるいは遺伝的撹乱などの悪影響を及ぼす危険性をはらんでいる」

 

「冷凍赤虫」については

観賞魚などのエサにする冷凍赤虫や乾燥赤虫は、中国の水田で大量に養殖された赤虫が加工されて、輸入されているようです。

さんみの冷凍赤虫 | さんみ株式会社
中国の自社養殖場で行われている、赤虫の採取から出荷までの様子を紹介。
「飼料の鶏糞を水田に入れますと、アオモや微生物が繁殖します。そして、アオモや微生物の死骸が沈殿して、赤虫の育つ土壌ができます」とのこと。

キョーリン:冷凍飼料(餌・エサ):クリーン赤虫
こちらも「中国の自然保護地区の農場で養殖された赤虫」。
なお、独自開発の殺菌方式で「赤虫体内まで殺菌しています」とのこと。

中国の赤虫生産は、広大な水田に大量の鶏糞を撒いて自然発生した幼虫を採集します。
新しい水田に鶏糞を撒き、水を張って最初に発生するのがイトミミズ。そのあと、水が汚れて来たらイトミミズは消滅して、大量の赤虫が湧いてくるそうです。その頃になると、あのドブ川と同じ硫化水素やメタンガスなどの、強烈な悪性を放っています。
出典 最新技術-3

赤虫は、人間からすればとても不衛生な「ドブ」の中で養殖します。
生き餌、乾燥、冷凍とも赤虫を触ったら、必ず手を洗いましょう!

 

参考リンク

釣り餌の"商虫"列伝 - 農林水産・食品産業技術振興協会
梅谷献二氏による昆虫学コラムの中でも、誰得?というテーマ。
・・恐るべし、昆虫博士!

蚊柱(かばしら)を作るユスリカってどんな虫?蚊ではないって本当?
「幼虫は側溝や泥の溜まった水溜り、都市河川、湖沼などが発生源となる。特に富栄養化の進んだ湖沼では、夏季になるとユスリカが大発生し、不快昆虫として問題となる。」

ユスリカが発生する原因とは?ユスリカの退治方法と予防対策

釣り餌の虫たち(昆虫学にならない虫の話)
アカムシについては「もし地域的な遺伝子の変異があれば、使い残しを湖に棄てることで遺伝子のかく乱が起きる心配が指摘されることになるかもしれませんので、安易な廃棄は慎みましょう。」

 

おまけ:アカムシのだ腺染色体観察


高等学校 生物 実習 アカムシのだ腺染色体観察 Salivary Chromosome
アカムシことユスリカ幼虫のだ腺(唾液腺)にある巨大な染色体を観察する定番の実験。
アカムシは釣具店でいつでも購入できるので、この実験は大人数でもやりやすい。
もちろん、実験のあとは、よく手を洗いましょう!

 

おまけ:乾燥赤虫が生き返る?

観賞魚や水生生物を飼っている人が少なからず遭遇する都市伝説ならぬ「水槽伝説」!

乾燥赤虫が生き返った?孵化した?ようです。乾燥赤虫をウーパールーパ... - Yahoo!知恵袋
回答は「乾燥赤虫が生きかえるなんてことはあり得ません 他の理由で水槽内に混入したはずです
そもそも赤虫じゃない可能性もあります」とのこと。
水槽内の水流のせいで動いて見えることがある。
また、ふたのない水槽ではボウフラと同様にアカムシも「湧く」ことがある。

ネムリユスリカ幼虫の乾燥休眠を利用した常温保管可能な活餌の供給 奥田 隆 | 知識プラットフォームのリバネス-Leave a Nest-
農業生物資源研究所の奥田隆氏は、アフリカの半乾燥地帯の岩盤にできた水たまりなどに生息するネムリユスリカ(Polypedilum vanderplanki)の専門家だ。ネムリユスリカ幼虫の特徴である休眠状態中の高い保存性や耐乾燥能力を産業利用できないか、研究を行っている。」
・・恐るべし、昆虫博士!


2021/10/11 更新、2020/9/30 NAVERまとめから移行